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何故2018年にもTwitterボットが問題になるのか

Twitterボットはトランプ大統領やBrexitを勝利に導いたのでしょうか?

国家経済研究局の新たな調査報告書は「その通りだ」と言います。BloombergのJeannna Smialek氏は先月次のように報じました。

大まかな計算によれば、英国に於けるEU離脱を問う国民投票では、ボットによって「離脱」に投票した人が1.75%増加したと見られている。また、米国大統領選挙では、トランプに投票した人間を3.23%増加させたと見られる。– Jeanna Smialek, Bloomberg

一方、F-SecureのTwitter専任リサーチャーであるAndy Patelはこの主張を必ずしも支持しません。彼は次のように言います。

私の意見では、ロシアへの非難は政治的駆け引きです。– Andy Patel, F-Secure Labs

Andyは2017年以降のフィンランド、ドイツ、イギリス、フランスの選挙に於けるTwitterのパターンについて研究を行いました。また、フォロワー販売やコンテンツの拡散(組織的なもの、ボットネットによるものの両方)、更にプロバガンダの伝播に使われた仕組みも調査しました。
そして彼によれば、2016年にアメリカのTwitter界で起こったことは明らかな実験だったと言います。

2016年にこれらの団体は、政治への積極的な影響ではない(ソーシャルメディア上でのターゲティング広告に関する)多数の調査を実施したのだと思います。少なくとも、アメリカでの彼らの活動[1]について我々が知っているケースでは。– Andy Patel, F-Secure Labs

ですが、これは将来の選挙でも彼らが(選挙に影響を与える)役割を果たさないことを意味するものではありません。その主な理由は、彼らの影響力をTwitterから取り除くことが現時点ではほとんど不可能だからです。Andyは、こうした多数のボットを凍結することは、昨年後半に見られた[2]程には簡単ではない数々の理由を指摘します[3]。しかし、その最大の理由は次の言葉に集約されるでしょう。即ち「言論の自由」に。

アメリカに拠点を置くソーシャルメディアプラットフォームは、猥褻や暴力的表現といった少数の例外はありますが、基本的に言論の自由というプリンシプルを理由に(表現に対して)寛大であろうとします。もちろんTwitterが言論の自由に対して果たすべき責任は様々なアクティビストから頻繁に問われています。そして言論の自由の概念は混乱のもとでもあります。(Twitterのような大きなプラットフォームによる)大胆な行動は、(プラットフォーム自体が)偏向している証拠として指摘される恐れが常に伴います。それでもtwitterはここ数年、注目を集めているアカウントでも凍結してきました。こうしたアカウント凍結は、Twitterに類似したサービスであるGabに対して「言論の自由を実現する代替サービス」というブランド価値を与える機会にもなりました。ですが、オンライン議論で許される範囲に関して、Gabはユーザーとの対立を抱えているように見えます[4]

Twitterは民間企業であり、法律に違反しない限りは自身のウェブサイトから大抵のユーザーを追い出すことができます。これは、多少恣意的な理由でも映画館が顧客を追い出すことができることと似たようなものです。昨年Twitterは、トロール、ボット、銃撃事件で偽情報を拡散したユーザー、自動ツイート、そして攻撃や嫌がらせを行ったアカウントを「一斉検挙」しました。
Twitter社は自らのウェブサイト上の問題をよく認識しているのです。そしてそれは一般の人々も同様です。

しかし今でもAndyは、特定のパターンで動作している何万ものTwitterアカウントを定期的にマッピングできると言います。これらの背後に人間は存在するでしょうが、各アカウントの正体が一意の個人でないことは確かです。あなたがサイバー戦争の専門家にならなくても、これらのアカウントを見ればこれらのアカウントがおそらくボットだろうという結論に至ることができるでしょう。

2016年の頃より遥かに、人々はこの現象についてよく認識しています。しかし依然として「ボット」を見分けることは難しく、その姿や規模、更に運用している団体は多岐にわたります。– Andy Patel, F-Secure Labs

ボットが「ロシア人」や大規模な政治的運動の一環であるかのように見えるが、実際には無関係である。何故このようなことが起こるのかを明らかにするために、Andyは彼が協力した一つの分析について指摘します。これはGeoff Goldberg氏が「Greensboro N.C.」の偽アカウントについて調べたものです。


Greensboro, North Carolinaの公式Twitterアカウントは@greensborocity だ。これは約45000のフォロワーを持ち、約1600のアカウントをフォローし、約21000回のツイートをしており、認証アカウントではない[5]。@Greensboroのアカウントは現在の所停止している。

偽アカウントは町の公式アカウントより多くのフォロワーを持っており、その名前やフォロワー数のおかげで沢山の検索にヒットします。これはグリーンズボロに住む何者かによって運営されていました。電話で連絡を取ってみたところ、SEOに関連したビジネスベンチャーの一環として、「@greensboro_nc」アカウントなどのノースカロライナの都市に関連したTwitterアカウントを多数、数年前に作成したことを認めました。– Andy Patel, F-Secure Labs

ちょっとした労力で、誰もが(対立国であれ、政治的な活動家であれ、SEOの「専門家」であれ)多数の個人と関わりあえる有名アカウントを開設することができるのです。

ある「研究者」は、これを簡単に見た上で即座にロシア人を疑うかもしれません。– Andy Patel, F-Secure Labs

未だかつて国家、運動、あるいは個人の誰一人として、Twitterによる世論操作に関して覇権を握れたことはありません。ただし、今後もそうであるとは言い切れません。

より懸念すべきは、「オルタナ右翼」のように大量のボットアカウントなどで自らの主張を拡大しているグループの例に事欠かないことです。– Andy Patel, F-Secure Labs

拡大された主張はニュースをもたらし、あなたの側にとって望ましい方向へと議論を揺さぶってくれます。今やこうした活動によるパワーは明確に、もしかしたら過大なまでに明確となりました。このパワーから私たちは最早逃れることができないでしょう。
もしあなたが単にロシアを非難するだけならば、あなたは実際に起こっている何かを見落としているかもしれません。とはいえ、偽情報や意見の不和といった種類のものは、最も拡散されやすいのですが。

脚注

[1]Special counsel Robert Mueller indicts Russian bot farm for election meddling | TechCrunch
[2]2017年の9月頃から、Twitter社はボットと見られるアカウントを大量凍結する措置を世界的に実施した。
[3]4 Reasons Twitter Struggles to Shut Down Bots | F-Secure Blog(2018年7月17日追記:本記事の日本語訳を掲載しました。「ボットの排除にTwitterが苦戦する4つの理由」
[4]Conspiracy Theories Are Eating This Alt Right-Friendly Site From the Inside | The Daily Beast
[5]2018年6月18日時点では認証アカウントになっている。

オリジナル記事情報

    Why Twitter Bots still matter in 2018
    掲載日:2018年6月12日
    執筆者:Jason
本記事はF-Secure KKの許諾のもと、オリジナル記事を日本語に翻訳・編集したものです。

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